2019、4、10
国家試験当日の前の夜や、その日の朝をどういう気持ちで過ごしたか、今となっては
うまく思い出せない。
ぐっすり眠れたし、目覚めも快調だったと思う。
多分緊張というものがさほどなかったのだろう。
ただ「ああ、インフルエンザに見舞われずに今日を迎えられてほっとした」と思った
ことは覚えている。
なぜ緊張がなかったのか?
多分じたばたしても今更どうしようもない、と腹をくくることができたのだと思う。
何事もそう思えればいいのだけど。
2月の最終の土曜日、この日が按摩・マッサージ・指圧のペーパー試験である。
部屋を出て冷たい風が吹く中、8時に試験会場に入る。
知らない人たちがたくさんすでに座に着いていた。
まず受験票を忘れず指定された僕の席の机の上の端に置く。
パーキンスとプレストークをセットして、それからトイレにも行っておく。
試験開始まで30分以上あったがあっと言う間に時間は過ぎて、どことなく神聖な空
気の満ちる広い試験会場に問題用紙が配り始められた。
「号令がかかるまで用紙は裏向けておくように」という試験官の声が広い部屋に響く。
そこから長い注意事項が述べられる。
「不正が認められた時には、その場で退場を命じます。
そして同時に以後の受験資格を失くすしますので、肝に銘じて下さい」というとても冷
たい口調の注意事項が耳に残る。
注意事項が終わると、しばし会場はシンと静まり返る。
そしてやがて「始め!」という鋭い声が響く。
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