1月に聾学校で歌とお話しで一時間の講座を、と依頼された。
いろんな学校に呼ばれて講演をやってきたが、聾学校は初めてのことである。
鑑賞する生徒は中学部で、もちろん彼らは聴覚に障害を持っている。
全く聞こえない子は今回一人もいない、ということだが、それでも僕の歌声がどのよ
うに彼らの耳に届くのかは想像できない。
僕が話している内容は先生方が手話とフリップでおおよそ補助して伝え、演奏する曲の内
容も視覚で確認できる方法を考えるということ。
だから前もって打ち合わせたこと以外のことをMCすることはできない。
これはなかなか難しい課題である。
それに加え、視覚障害を持った者が声楽を通じてライフワークを築いていることの楽
しさと苦しさ。
そこから得て来た何かを話すことで、それらが彼らの糧とならなくてはならない。
今日授業を担当されている先生と打ち合わせのミーティングを行った。
先生は健常者なので手話もそこまで巧ではなく、あまり早く僕が話すと手話が追い付
かないし、難しいことを言うと手話で表現しきれない、ということである。
なるほど、いよいよ手立てを工夫しなくてはならない。
我々の時代もそうであったが、授業中わーわー騒がしい中学生も、シューベルトの魔
王だけは集中して聴いた。
今回の中学生もやはり魔王が大好きで、是非演奏してほしい、との要望があり、これ
もやはり歌詞の内容をうまく伝えることに大きな課題がある。
何はともあれ、難しい分楽しみでもある。
ただ講演は一時間目ということで、朝8時半からのスタートらしい。
歌うには辛い時間である。
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