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「Let's begin、パート8」大阪市、西区、阿波座

声楽の分野で、南欧の人たちの声は特別である。

ロシアやヨーロッパ諸国の人たちの声にも圧倒されるが、イタリア、スペインなどの

南欧と呼ばれる国々の人たちの声は、もう誰にも真似できない音色と力強さを備えて

いる。

これは一体どこに違いがあるのか。

それは筋肉の違いである。

声にまつわる筋肉というものは強いだけではだめで、柔らかさと力強さとしなやかさ

などが総合的に加味されていなければならない。

よって古来からの名歌手は意外と見た目の筋肉質ではない人が多かったと言われてい

る。

ドイツ人やアメリカ人のように体の大きな者が得かとおもいきや、イタリア人などは

とても小柄で、日本人とそう変わらない。

テノールという男性の声種に限った話をすると、高音の鳴り方が全く違う。

明らかに筋肉の働き方に違いがある。

ではなぜイタリア人だけが他に類を見ない筋肉を有しているのか。

それは不明である。

通常古代から食べて来た物、気候などが作用しているのでは、と考えるべきである。

しかしイタリアと同様動物性蛋白質を豊富に摂取し、お天気の良い国というのは他に

もある。

後考えられるのは、イタリア語のもつ発音の性質が筋肉をバランス良くトレーニング

するのかもしれない。

でもそんなことだけで説明がつかないほど、彼らの声は素晴らしいのである。

しかし不思議なことに、録音として残っている戦前、戦中、戦後辺りに活躍していた

歌い手の声の素晴らしさは、今はもう聞けないように思える。

僕のドイツでの先生もおっしゃっていたが、戦後すぐ若いころに歌劇場に通って耳に

していた歌い手の声は、今はどこに行っても聞くことができない、と。

おそらく百年、二百年前にも想像もつかない素晴らしい声が存在したのかもしれない。

ではなぜ現代は、イタリアにおいておやそれが消えてしまったのか。

これもまた不明である。

地球上の人間の生態系に何かしらの変化があるのかもしれない。

ドイツの先生は、この世に電気が現れ、スピーカーというものが出て来てから人の声

はだめになった、とおっしゃっていた。

歌声を聞きたければ歌劇場に足を運んで、全くの生の音を耳にするしかなかった時代。

それが聴き手の耳を育て、歌い手を育てた、と。

確かにそれもあるかもしれない。

でももっとホルモンや栄養素にまつわる身体の中の問題が含まれているように僕には

思える。

どちらにしても、生まれつき全く異なったマテリアールに途方に暮れるのである。


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